「永遠の出口」

tetu-eng2016-12-18

「永遠の出口」 
森 絵都
集英社文庫
2009年6月6日第5刷発行

神戸市長から「賞状」をいただきました。

大仰な話ではありません。神戸市・協会健保の主催の「歩キング・歩クィーン」というウォーキングイベントに参加して、日々、奮励努力の結果、入賞したらしいです。イベントの参加者は、300名ぐらいで、男子部門で1位(ただし、同点1位が10名)だったらしいです。

イベントは、10月・11月の2ヶ月間のウォーキングの点数を競うという内容です。点数は、毎日の歩数、速歩時間のバランスで、最高点が100点です。ぼくは、期間中、全日100点だったらしいです。2ヶ月間、お休みの日も、雨の日も、コンスタントに歩くことができたのは、実は、その間、健康だったという証です。

ありがたいことです。

今、さかんに言われていることは、健康寿命を伸ばすには、どうすればよいか?バランスの取れた食事、質のよい睡眠、適度な運動などなど。適度な運動で、推奨されているのが、ウォーキングらしいです。1日8000歩程度、1時間程度の速歩。歩きすぎは、足腰、とくに膝への負担が大きくなるので、NGらしいです。

ということで、何事も、バランスが大切ということです。

森絵都さんは、2006年に「風に舞い上がるビニールシート」で直木賞を受賞。それ以前には、児童文学の世界で高く評価されている作家さんらしいです。「風に舞い上がるビニールシート」は、あまり、面白くなかったというのが、ストレートな感想です。そのため、「永遠の出口」は、書棚で、長い間、ほこりをかぶっていました。

紀子(のりこ)の小学校3年生から高校3年の卒業までの物語。70年代から80年代にかけての世相をおりまぜながら、特別な事件があるわけでもなく、普通の女の子の日常をドラマチックに描いているだけなのに、とても染み入るものがあり、そこに共感できる「思い」もあります。

『生きれば生きるほど人生は込み入って、子供の頃に描いた「大人」とは似ても似つかない自分が今も手探りをしているし、一寸先も見えない毎日の中ではのんきに<永遠>への思いを馳せている暇もない。
だけど、私は元気だ。まだ先へ進めるし、燃料も尽きていない。あいかわらずつまずいてばかりだけれど、そのつまずきを今は恐れずに笑える。
生きれば生きるだけ、なにはさておき、人は図太くもなっていくのだろう。
どうかみんなもそうでありますように。』

「生きれば生きるだけ、人は図太くなっていく」だろうか?ぼくは、「生きれば生きるだけ、人は慎重になっていく」と思います。さまざまな経験を積み、「図太くなって」いければ、いいのかもしれませんが、逆に、結果を予想することができるようになり、回避行動をとるようになる。そう、「逃げるは恥だが役に立つ」ようになるのです。

余談ですが、紀子が、家族旅行で行った行き先に興味津々。大分の「六郷満山の総持院」です。ネットで調べてみると、ビックリ。神仏混合の寺社仏閣。秋がよさそうです。「しぐれもみじ」という巨木があり、これは圧巻らしいです。ぜひ、行ってみたいですね。