「影裏(えいり)」

tetu-eng2017-09-03

「影裏(えいり)」 
沼田 真佑
文藝春秋9月号

事件です。

朝夕と涼しくなり、エアコンを入れなくても寝られるようになったのに・・・・なんで!

火曜日の朝のことです。いつものように6時に起床。ベッドから起き上がりトイレに行くときに、右の腰に違和感がありました。その違和感は、やがて痛みに発展していきます。が、そのときは、また、腰が痛くなったけれども、そのうち治るだろう程度に思っていました。なんとか、会社に行きましたが、座っていれば、左程、痛みは感じませんでした。

ところが、お昼に食事に行こうと思って歩き始めると、10メートルごとに休憩しないと辛い痛みになってきました。「なんじゃ!これ!」いままで、腰痛はなんども経験していますが、こんな状態は初めてです。ただ、いままでは、「重ったるい!」って感じでしたが、今回は、ひたすら「痛い!」ただし、幸いですが、痺れはありません。

まあ、それでも、そのうち治るだろうと思っていたら、どんどん歩くのが辛くなるじゃありませんか。おまけに、夜中に痛みで覚醒するようになりました。こりゃ、「あかんわ!」、とにかく、痛み止めとシップを調達するべく、整形外科の門をたたいたのが、木曜日です。レントゲン撮影の結果、「60代にしては、きれいな骨をしてるね。60代になると、すこしは変形するけどね。すべりもないし、異常なし。(痛みの原因は)筋肉だね。温めときましょう。」

と、ありがたいお言葉で、ちょっと、うれしくなりましたが、それはそれとして、痛いのを何とかしないといけない。そこで、「先生、お薬は?」と尋ねると、「処方しますよ。強力な痛み止めを短期間ね。」とうことで、痛み止めとシップを手に入れることができました。その痛み止めですが、痛み止めといえば、「ロキソニン」ですが、「ボルタレン」というお薬でした。「ロキソニン」が市販化されたので、次世代のお薬でしょうか?まあ、とにかく、これで一安心、あとは、日薬かな?と思っていますが、・・・。

「影裏」は、「かげうら」と読むのが国語でしょう。意味は、「日の当たらないところ」。これを、「えいり」と読んで、小説のタイトルにしています。このような手法は、小説のタイトルに多々見受けられますね。沼田真佑さんは、処女作で、いきなり「芥川賞」の受賞らしいです。処女作で、「芥川賞」を受賞した方は、何人かいますね。石原慎太郎太陽の季節」、金原ひとみ蛇にピアス」などなど。

『勢いよく夏草の茂る川沿いの小道。一歩踏み出すごとに尖った葉先がはね返してくる。かなり離れたところからでも、はっきりそれとわかるくらいに太く、明快な円網をむすんだ蜘蛛の巣が丈高い草花のあいだに燦めいている。
しばらく行くとその道がひらけた。行く手の藪の暗がりに、水楢の灰色がかった樹肌が見える。
もっとも水楢といっても、この川筋の右岸一帯にひろがる雑木林から、土手道に対し斜めに倒れ込んでいる倒木である。それが悪いことにはなかなか立派な大木なのだ。』

芥川賞の作品として、自然がいい感じに描写されています。この小説全体に言えることですが、この自然の描写と主人公と日浅という人物の人間関係が、なんとなく関連付けられているように思えます。ストーリーは、日浅という釣り仲間の友人が失踪して、主人公が彼を捜すという単純なものですが、ぼくは、この小説の目玉は、自然の描写だと思います。

久しぶりに、すがすがしくて、きれいな芥川賞の作品だと思います。