ウクレレのほこり

ウクレレ

私の机の横に埃まみれのウクレレケースがあります。2年前ぐらいになります。何となく楽器の一つでも弾けるようになれるといいなと思ってウクレレを購入しました。ウクレレは、中高年のおじさんにとっては、比較的かつ容易にマスターできる楽器ということで、新聞に紹介されていたのがキッカケです。高校時代に、ギターの経験が多少あったので、まあ、すぐに弾けるようになるだろうと思った、その考えが少し甘かったようです。ウクレレについての知識が全くない素人だったので、会社の昼休みを利用して、センター街の島村楽器で、色々と教えてもらいながら、ウクレレウクレレケース、それと調音器具を買い求めました。その時、確かに、独学を目指すよりは、一度、音楽教室で基礎を練習することを勧められました。
細君には、「ウクレレ買ってもいいかな。」と、以前から、アリバイ作りをしていたので、その日は、帰宅前に、細君にメールでウクレレを買い求めたことを報告。子供がおもちゃを買ってもらった時のように、ウキウキしながら、帰宅しました。最初の予定では、1月ぐらい練習すれば、ある程度、演奏できるはずでした。ところが、ほんとうに、ところがです。2週間ぐらいは、教習本をみながら「ポロロン、ポロロン」と順調に独習を進めていました。しかし、ギターと何だか違うのです。そうです。減の本数が2本少ないのです。それが決定的な課題ではありませんが、とにかく、指が動きません。そのうえ、相棒の所為にする訳ではありませんが、「ポロロン、ポロロン」と始めると、私の相棒が、何故か、尻尾を巻いて、細君の方に駆け寄り助けを求めます。どうも、ウクレレの音が、お気に召さないようです。
昨夜、S部長と三宮のショットバー「VILLA」でバーボンを飲みながら、犬とウクレレの関係が話題になりました。
「どうも、ウクレレを弾き始めると、我が家の犬が恐がるんですよね。」
バーボンのシングルをロックで注文し、グラスの中の円柱形の空気の入っていない奇麗な氷を右手の指さきで転がしながら、話題を持ち出します。
「うん、何故かな?犬の聴覚を人間の何十倍も優れているというから、きっと、人間がガラスを爪で擦った音を不快に感じるのと同じで、そういった風に感じるんでしょうね。」
S部長は、マテイニーのカクテルグラスを傾けながら、納得のいく例示を説明しながら卒のない説明をします。と思ったら、
「そうすると、ハワイの犬は、皆、大きな迷惑だね。」
茶目っけのあるジョークを飛ばします。
「ハワイにも犬は居るでしょうし、それでも、長年、ウクレレの音を聞いていれば、DNAが変わってくるんじゃないですか。」
と親父のギャグに真面目に打ち返す。
というやり取りがあり、今朝は、思い出したようにウクレレケースのほこりを払って、久しぶりに「ポロロン、ポロロン」。案の定、相棒は、細君の元へ尻尾を巻いて駆け寄り、細君の膝にすがりついて助けを求めていました。