「広重ぶるう」

「広重ぶるう」

梶 よう子

新潮文庫

令和6年2月1日初版

 

「花見の玉子焼き」

一品を持ち寄って花見。龍象院の坐禅会の恒例の花見。ぼくは、「玉子焼き」を持参しましたが・・・・。みなさん、腕を振るった料理がずらりと並びました。

一方、花は、ご覧のとおり、昨年は、満開だったのに・・・今年は、ピンクの蕾と二輪の桜花の開花。どうしたことでしょう。

 

 

気象庁によると、昨年は、例年より12日早い開花で、今年は、例年より3日遅い開花とのことです。

 

確かに、昨年は、3月29日に万博記念公園でお花見をしました。もちろん、満開。でも、今年は、ご覧のとおりです。

 

観梅の季節にも書きましたが、花見も自然がお相手。こちらの思惑通りにはいきません。

 

でも、花はなくても、お持ちより料理とノンアルコール(お寺なのでアルコールはご法度)で、天気さへ良ければ場が持つのは、不思議です。

 

特に、女性陣は、すごい。男性陣は、もっぱら、女性陣の話の聞き役でした。

 

そうそう、話は逸れますが、ソプラノ&テノール歌手の舞台を聞いてきました。クラシックではなく、「日本のうた×世界のうた」という企画でした。

オペラ歌手の声量って、半端なく凄いですね。圧倒されました。楽器もいいけど、歌声もいいね。って、音楽って、ほんとにいいですね。

 

余談はこれぐらいにして、「広重ぶるう」

 

広重とは、安藤広重・・・こと、歌川広重。浮世絵師の物語です。「ぶるう」とは、「ブルー」のこと。広重の空の色、海の色のことです。

 

『ベロ藍は、本来ぷるしあんぶるうというらしい。ぶるうは青や藍のことをいうそうだ。

 このベロ藍が、これまでの藍と違うのは、水に溶け易く、色が伸びるということだ。

つまり、淡い青から深い藍まで、水の加減で自在に出せるようになる。色差しをする絵師にとっても、摺師にとってもこのベロ藍が青色を用いる際の幅を広げてくれる。濃い藍から淡い青へとぼかしで諧調が作れれば、空の奥行、広さが出せるだろう。川や海などでも、深浅が表現出来る。

「なあなあ、広重ぶるうってのはどうだえ?」』

 

浮世絵は、絵師、彫師、摺師の共同作業で仕上がるらしい。そして、職人の格は、絵師→彫師→摺師の順となるらしい。そして、一番、儲けるのが、版元となる。版元は、版木を所有するので、一枚の版木で何百枚と摺ることができるらしい。

 

絵師は、一枚の下絵を描いたら、それを一枚いくらで版元に売る、もちろん、摺り上がりまでの監修はするようだ。

 

あっ、肝心なことですが、歌川広重といえば「東海道五拾参次」。浮世絵を従来の美人画、役者絵、武者絵から風景画(名所絵)に広げた絵師らしいです。

 

また、晩年は、「安政の大地震」で壊滅した江戸の復興のため、「名所江戸百景」で江戸の名所の記憶を残すことに精力を注ぎました。

 

この本、江戸時代のお仕事小説。日本の誇る芸術の一つである「浮世絵」の勉強になりました。