「珈琲店タレーランの事件簿 2」
ー彼女はカフェオレの夢を見るー
岡崎 琢磨
宝島社文庫
2013年5月9日第1刷発行
648円(税別)
第一作目は、「ーまた会えたなら、あなたの淹れた珈琲をー」で、この本は、第二作目です。サブタイトルが長いのですが、今回の珈琲の主役は、サブタイトルのとおり「カフェオレ」ですが、小説の中で、例によって、珈琲に関する薀蓄が紹介されます。それは、テレビCMなどで、お馴染みになった「ラテアート」です。
『「ラテアートとは、その名のとおりカフェラテの表面に、ミルクとエスプレッソの色の濃淡によって描かれる絵のことである。いっぽうデザインカプチーノという呼び名もあり、こちらはカプチーノの表面に絵が描かれる。一般的に、カフェラテはエスプレッソに温めた牛乳(スチームドミルク)を加えたものを、カプチーノはエスプレッソに少量のスチームドミルクとふわふわの泡立て牛乳(フォームドミルク)を加えたものを指すが、ラテアートの場合はミルクが表面に浮き上がるようなフォームドミルクを注ぐ。これに対し、デザインカプチーノは表面にミルクの泡を載せるような形になる。したがって、ラテアートとデザインカプチーノとでは作り方が異なるのだが、両者は混同されることも少なくない。』
それはさておき、珈琲店タレーランの女性バリスタ・切間美星(きりまみほし)さんの妹美空(みそら)さんが、大学の夏季休暇を利用して京都にやってきました。お忘れになった方に説明しますが、珈琲店タレーランは、京都の中京区二条通と富小路通の交差点を<上がる>北上したところにある純喫茶です。バリスタの美星さんと彼女の大叔父藻川さんとで経営しています。経営者は、藻川さんですが、実質は、美星さんが切り盛りしています。僕は、「アオヤマ」。この店の常連ですが、美星さんとは、微妙な仲ですネ。
僕と美星さんの二人で、京都駅に美空さんを迎えに行きましたが、京都へきた目的は、観光だけだと思っていましたが、どうも、それだけではないようです。美空さんは、お姉さんに隠れて、何か、コソコソと動いています。僕は、それにつき合わされますが、そのため、美星さんには、あらぬ誤解を受けてしまい、ほんとに、慌ててしまいました。やがて、事件が起こります。しかも、思わぬ展開で・・・・。バリスタ美星さんは、いつものように、ハンドミルでコリコリと豆を挽きます。でも、今回の事件は、そんな悠長なことをしている暇はありません。事件は、美星さんと美空さんの姉妹の秘密に関係していました。
これ以上、お話をするとミステリーの種明かしになってしまいます。ミステリー小説を読みながら、珈琲の好きな方、この「珈琲店タレーラン」を読むと、きっと、珈琲通になれますよ。