「さまよえる古道具屋の物語」

「さまよえる古道具屋の物語」

柴田よしき

2023年3月10日第1刷

文春文庫

 

ヤマサ蒲鉾の芝桜

姫路、夢前川の川沿いにヤマサ蒲鉾の大きな工場があります。そこの法面に芝桜を植えて、「芝桜の小径」を整備して、一般公開しています。ヤマサ蒲鉾だけに、大きな鯛のオブジェが目を引きます。

ここには、蓮畑もあり、昨年は、蓮の花を見に来ました。これも、すばらしかった。

もちろん、商品の販売所もあり、平日にもかかわらず、大行列でした。

 

 

面白いものを手に入れました。

 

「一掃百態」って知っていますか?江戸後期、渡辺崋山の江戸風俗画ですが、一説によると、渡辺崋山は、3日で江戸の住民の百人百態を描き上げたらしいです。

 

ぼくの買ったものは、もちろん、複製画ですが、これが、なかなか面白。

 

なぜ、こんなものを買ったか?まあ、衝動買いですね。

 

キッカケは、NHKの「知恵泉」という番組をNHKプラスで鑑賞。渡辺崋山という幕末の画家であり田原藩の家老であった人物に興味を持った次第です。

 

番組では、中島健太(当代人気の若手画家)さんが、これを描くまでに相当な積み重ねがあったはずと、コメントしていました。そりゃそうでしょう。

 

そして、番組で紹介された「一掃百態」を早速、ネットで調べたら、なんとヤフオクに出品されていたので、迷わず?やや、迷ったけれど。ポチしちゃいました。

 

そして、さらに、図書館に行って、渡辺崋山に関する図書を検索。数冊ヒットしたので、今度、借りてきて、渡辺崋山と言う人について、もう少し、知り合いになってみようと妄想が膨らんでいます。

 

イヤー、余談が長くなりました。

 

今年一番のお薦め本。柴田よしきさんの「さまよえる古道具屋の物語」です。

 

これは、村上春樹張りです。「張り」というのは、有名な人に似ている、という意味ですが、柴田さんには、失礼かな?

 

ただし、タイトルがストレートすぎたかな。むしろ、「さかさまの物語」「底のないポケット」または「持てないバケツ」の方が、いいんじゃないかな?ただ、タイトルは、一般的には、作者ではなく編集者が決めるらしいですが・・・。

 

『「物は人の執着を欲しがる。人がいつまでもその物に囚われていることを望むんだ。だから物とは、適当なところで別れたほうがいい。古くなったら手放しなさい。過去になったら別れなさい。すでに不要になっているのにいつまでも執着していると、そのうち物は、あんたの心の中にある思い出まで侵食するぞ。あんたが愛したのは子供だ。物じゃない。」』

 

物に執着するのは、そこに必ず「人」が介在する。その「人」は、自分であったり、家族であったり、友人であったり。

 

心に闇、絶望を抱えた人の目の前に「古道具屋」が現れる。そして、その人は、必要としている物を買う。しかし、ほんとうに、その物は、必要なのか?物に執着しているのではないのか?

 

ぼくは、今、「一掃百態」に執着しているのかも?