「桐畑家の縁談」

tetu-eng2014-06-15

「桐畑家の縁談」
中島 京子
集英社文庫
2010年4月25日発行
476円(税別)

 最近、体調の悪さに困っています。季節の変わり目でしょうか?なんだか、舌の奥や喉に違和感があるのですが、お医者さんは、「異常なし」ということです。いわゆる「気うつ」なのでしょう。とにかく、思いのほか「ナイーブ」な性格ですから・・・自分で言うのも何ですが・・・。まあ、そのうち、「なるようになるさ!」と割り切れれば、問題ないのですが・・・。

 体調の悪さが手伝って、どうにも、読書雑感を書くためのキーボードを打つ指がすすまない。なんだか、集中力を欠いているという状態ですね。したがって、本日は、簡潔にしたいと思います。我が儘なもんですね。

 『こたつでぼんやり妹の帰りを待っていた露子は、首をかくんと動かして下を向き、広げたクロッキーノートのざらついた頁に長い髪を垂らして、2Bの鉛筆でそれをなぞった。髪の毛はいやいやをするように逃げて、白い紙には幾筋もの間の抜けた線が引かれた。
 クロッキーノートを出してくるのは久しぶりだった。』

 露子と妹の佳子は、同居していた、というより、露子が佳子のアパートに居候として転がり込んだのです。露子は、職を転々として、定職が定まりませんが、佳子は、日本語学校の事務職として定着しています。そんな二人の日常のある日、佳子から「結婚することとした」と告げられます。

 自分より、奥手と思っていた妹、しかも、お相手は、台湾の青年、露子は、なんとなく、落ち着かない気持ちになります。でも、露子にも、実は、プロポーズされていた彼氏がいました。が、なんとなく、乗り気になれない。別に、彼氏が嫌いというわけではない。そんな二人の娘を持つ桐畑家の両親は、戸惑います。

 『「結婚したいんだけど」とか「結婚しようと思っているんだけど」どうだろうか、というニュアンスではなく「結婚することとした」という極めて配慮に欠ける決定事項は、そのまま国分寺に住んでいる両親・桐畑夫妻にも伝えられた。
 横浜の占い師の言うままに来年には式を挙げるという突然の通告を受けた桐畑氏は、当然のことながらパニック状態になったのだという。』

 昔の小津安二郎の「東京物語」という映画を見ているようなゆったりとした時の流れを感じる小説です。中島京子さんの小説は、家族小説が多く、やさしい雰囲気のあふれた作品ですね。と、これで、おしまいですが、気候が不順な季節です。皆様も、風邪など引かないように気をつけて下さい。

 追伸:体調の悪さを吹き飛ばすために、金曜日に、「平日に休んでテニスをする会」で、ビーインズドームで、テニスを決行。残念ながら、センターコートではありませんが、次は、センターコートでやりたいですね。