「その話は今日はやめておきましょう」

「その話は今日はやめておきましょう」

井上荒野

毎日文庫

2021年4月30日第1刷

 

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丹波市柏原「東京屋」 丹波市柏原をブ~ラブラ。ここは、織田信長の弟信包の末裔が治めた柏原藩の陣屋があります。趣のある小さな街です。古い商家の建物をリフォームしたクリーニング屋さんがありました。なぜか?屋号は「東京屋」。

 

 

今週の「カムカムエヴェリバディ」は、1945年終戦の年。岡山空襲で安子のお祖母ちゃん、お母さんが亡くなりました。そして、終戦後、安子のお父さんが亡くなりました。

 

最後のナレーション、「翌朝、金太が亡くなったとの知らせがありました。」えっ、どういうこと?と思った視聴者は沢山いたと思います。ぼくも、出征した算太ではなく、お父さんの金太?

 

このあと、「あさイチ」の鈴木アナは、号泣。

 

そして、安子の夫、稔の「戦死公報」。これは、ドラマとして、予想していたので、あ~、やっぱり。「あさイチ」の鈴木アナ、連日の訃報にも耐えて、涙うっすら。

 

やれやれ、やってくれましたNHK。朝ドラ史上、例を見ない「泣かせ」の連ちゃんでした。残るは、出征した算太の消息は?来週は、笑いたいが・・・・。

 

余談は、ここまでです。

 

先日のブログで予告した瀬戸内寂聴の不倫の恋人の娘(下品かな?)井上荒野さんの「その話は今日はやめておきましょう」を読了しました。

 

「夫 昌平72歳」と「妻 ゆり子69歳」の老夫婦の物語。

 

65歳まで働き、定年後、嘱託勤務していたが数年前に辞めた。それを機に、二人でクロスバイクを購入して、少し、遠出を愉しみながら、穏やかに暮らしていた老夫婦。長男と長女は、すでに独立。

 

ところが、昌平が事故で足を骨折。一気に、不自由な生活となった。

 

ある日、リハビリの帰宅中。雨に降られて、老夫婦がオタオタしていたら、一人の青年が声をかけ、タクシーの手配など助けてくれました。

 

そのことが縁で、この青年の一樹に、病院への送迎、家の掃除などを手伝ってもらうことになります。

 

ちょっと設定に無理があると思いますが、老人は、親切にされると、その人が「いい人」だと信じてしまうのでしょう。

 

もちろん、昌平とゆり子が、手放しで信じたわけではなく、一樹について、いつも、疑心暗鬼になりながらも、なんとなく、彼を受け入れてしまうのです。

 

『今、テラスでガーデンチェアに向かってペンキを吹きつけているが、もう何年も何年も前から知っている青年であるように思えてきた。実際、一樹の作業を眺めるのはゆり子にとってはすっかり馴染んだことだった。馴染んでいる、という実感が嬉しくて、頼もしくもあった。その感触が、麻酔薬のように自分のどこかを麻痺させているようでもあったけれど、それが悪いと思わなかった。』

 

やがて、ゆり子は、家の中での異変に気がつきます。

 

ちょっと家族小説のようで、ちょっとサスペンスぽいくだりもあり、平易な文章スタイルなので、一気に、読んでしまいました。

 

昌平、ゆり子夫妻・・・ぼくと同年代。まだ、若い者に、じじい、ばばあ、とは呼ばれたくはない。