「我が家の問題」

tetu-eng2014-09-28

我が家の問題
奥田 英朗
集英社文庫
2014年6月30日発行
560円(税別)

 「我が家の問題」ってなんだろう。我が家は、わずかに還暦を超えた老夫婦(?)と一匹の老犬との2人と一匹の家族の暮らしです。
 ・家族の健康・・・なんと言っても、これが一番でしょう。今のところ、年相応に痛い、痒いがある程度で、幸せにも、左程、問題はないようです。ただし、犬は、言葉が分からないので不明。
 ・ぼくの会社のこと・・・特に、問題なし。健康であれば、もう暫くは、ご厄介になれそうです。
 ・細君の悩み事・・・残念ながら、あまり関知していない。って、僕の問題かな?
 ・子供の生活、仕事のこと・・・細君から情報提供あり。その程度。まあ、便りがないのは、良い知らせなのかな。
 ・相棒(ミニチュア・ダックスフンド)・・・11歳、やや高齢犬。いつまでも、元気というわけにはいかないでしょうが、おい、頑張れよ。

 この小説は、ユーモア家族小説とでも、名付けましょうか?6作の短編から構成されています。
 「甘い生活?」・・・妻の面倒見が良すぎて、1人になる時間を欲しがっている新婚夫婦の旦那のお話。
 「ハズバンド」・・・夫が会社で仕事ができない厄介者になっているのではないかと悩む妻のお話。
 「絵里のエイプリル」・・・両親が離婚を考えているんじゃないかと、気が気でない娘のお話。
 「夫とUFO」・・・毎夜、河川敷でUFOと交信してるという夫の不審な行動に悩みながら、やきもきしている妻のお話。
 「里帰り」・・・東京で新婚生活を始めた夫婦の夫の実家は札幌、妻の実家は名古屋。さて、夏期休暇を、どうやって過ごすのか?
 「妻とマラソン」・・・ジョギングが趣味の妻。家族みんなで、マラソン大会への出場を薦め、ついに、妻は大会に出場することとなった。

『 「あ、おかあさんだ」そのとき恵介が見つけた。
「おかあさーん!おかあさーん!」
「こっち!こっち!」
息子たちが飛び跳ねて出迎える。
里見は歩くような速度で、それでも健気に走っていた。子供たちを見つけ、力なく微笑む。疲れ切っている様子だ。
康夫も力いっぱい手を振った。鼻の奥がつんと来た。いかん、いかん、息子たちがいるのに泣いてたまるか
しかし視界があっという間に滲んでしまった。』

 そうのち、連続ドラマにでもなりそうな小説ですね。日曜日に、「おやじの背中」ってドラマがありましたが、その家族バージョンでどうでしょうか?