「ライオンのおやつ」

「ライオンのおやつ」

小川 糸

ポプラ文庫

2022年10月5日第1刷発行

 

再度山の紅葉 遠くに行かなくても、神戸の中心地から車で25分、再度山の修法ヶ原池は紅葉の名所。この季節は、再度山公園が大人気。100台はあると思われる無料駐車場は、ほぼ、満車状態。

 

 

涼を求めて夏に再度山公園に行ったときには、修法ヶ原池の周りには、お年寄りのカップルが数組程度。残念ながら、この程度の標高では、鬱蒼とした山の木々で、蒸し暑いだけでした。

 

池のほとりの休憩所に「Re cafe」という売店があります。そのとき、売店カップ珈琲でホッとしたのですが、お店の中からジャズの音楽が流れてきました。

 

店主に音源を聞いてみると、レコードとのこと。店内を覗くと、LP盤のレコードが棚に並んでいて、その傍に、ターンテーブルがありました。

 

音は、ターンテーブルから「bluetooth」でスピーカーに飛ばして、店外にも聞こえるようなシステム。ジャズの音楽が、森の中、泉の岸辺で、洒落た雰囲気を醸し出しています。

 

店主は、このシステムが安価であることを盛んに説明。ターンテーブルが3万円程度。スピーカーは、2万円程度の小型「BOSE」で十分である。双方とも、配線なしで、「bluetooth」で対応できる。

 

「へえ!」この手の話を聞くと、すぐに欲しくなるのが、ぼくの悪い癖。よく考えると、レコードは、もう、すべて処分してしまったので、レコードから調達が必要となる。

 

店主、「レコードならブックオフでも、安く売ってますよ。」「うううううう・・・・」

 

余談が、長くなりましたが、小川糸さんの「ライオンのおやつ」。

 

小川糸さんの小説は、「ツバキ文具店」が「my favorite novel」。とても、やさしい、優しい、小説です。

 

「ライオンのおやつ」も、ホスピスという、少し、重いテーマですが、期待に反せず、とても優しい物語になっています。

 

『痛みにはふたつあるのだと、マドンナは言う。

ひとつは、体の痛み。もうひとつは、心の痛み。

そして、体の痛みと心の痛み、両方を取り除かなければ幸せな最期は訪れないのだと。ホスピスは、体と心、両方の痛みを和らげるお手伝いをしてくれる場所だった。』

 

 

主人公の「雫」は、終末医療として、ホスピスを選択。家を引き払って、瀬戸内のレモン島の「ライオンの家」で残りの人生を過ごすこととした。

 

レモン島での生活は、つねに「死」と隣り合わせ。一緒に、食事をした人が、明日には、いなくなる。自分もいつかは。でも、「ライオンの家」のスタッフ、島の人々、住人たちみんなが、優しく、温かく、包み込んでくれる。

 

『「夜ぐっすり寝て、朝、おいしくお粥を食べることを当面の目標としましょう。明日のお粥さんが楽しみになりますように。

雫さん、よく眠り、心と体を温め、よく笑うことです。いい人生を送りましょうね」

そっと肩にのせられたマドンナの手が、じんわりと温かかった。』

 

 

誰にも訪れる人生の最後、そのときまで、「よく眠り、心と体を温め、よく笑う」、そんなこれからを過ごしたい。