「大名倒産 下」
文春文庫
2022年9月20日第2刷発行
カラオケ
最近、コロナ行動制限の緩和に乗じて、カラオケに凝っています。と言っても、月1回~2回ペースですが。昔は、スナックに入り浸りでしたが。この年になって、「カラオケBANBAN」と「ジャンカラ」のシルバー会員にもなりました。約2時間、同年代の仲間と昭和・平成の歌を歌っています。
カラオケ業界の怪。平日昼間と休日夜で、料金が、約2倍~4倍も違います。たとえば、2時間で、400円~2000円の差。おまけに、年末は、プラスα。まあ、ホテルなども、同じ傾向ですが。
今日は、いきなり「大名倒産 上」に続いて、「大名倒産 下」の読書雑感です。
下巻巻末に、対談「改革をなし得る人とは」浅田次郎×磯田道史(テレビでお馴染みの歴史学者)が掲載されています。文庫本は、こういった+αも楽しみです。
『磯田 儒学者の細川平洲「勇なるかな勇なるかな、勇にあらずして何をもって行わんや」
最も大切なものは勇気だということです。改革を断行するには、自分の心を鼓舞する芯のようなものを持たなければなりません。
浅田 僕はいろんな生き方をしてきたけれども、やっぱり真面目に生きるしかないですよ。世の中は甘くないけど、回り道をしたり知恵を巡らせるより、愚直に歩くべきです。結局、それが早道。』
歴代260年の間に、積もりに積もった25万両の借金を抱え、先代の和泉守が目論んだ「大名倒産」。しかし、当代の和泉守は、経営再建に乗り出します。
しかし、生半可なことでは、ありません。「1に節約、2に徴税、3に殖産興業」この3項目の実践です。
これは、現在の日本財政にも共通することでしょう。あれこれ難しいことは、抜きにして、行きつくところは、この3項目をいかに「愚直」になし得るか?ここがポイントでは。
プラス、当代の和泉守には神が味方しました。
貧乏神に取りつかれそうになりますが、ひょんなことから、味方したのは七福神。天竺生まれの大黒天、毘沙門天、弁財天、唐国生まれの布袋、福禄寿、寿老人、そして、日本生まれの恵比寿さん。
この出生バラバラの神様が、日本でひとつのグループになったのかは、「大名倒産」を参照してください。
当代の和泉守が下した決断は、鴻池以下、商人を集めて、
『丹生山三万石は倒しませぬ。父祖の生きたふるさとは、けっして壊しませぬ。しからばこの場にて、物言わせていただきまする
積もり重なる借財はおよそ二十五万両、しかるにその二十五万両の過半は利息の累積にござりまする、よって甚だ勝手とは存じまするが、伺書にある借入金総額のうち、半金を切り捨て、残る半金を本年八月末、現金にて返済つかまつりまする
上意である』
半金と言えども、12万5千両を、どうやって調達したかは、「大名倒産」を」参照してください。まさに、奇跡の「経営再建」。
ということで、大方、半月の間、愉しんだ、「笑いと涙がてんこ盛りの超豪華エンタメ時代小説」の幕が下ろされました。