「つまらない住宅地のすべての家」
津村 記久子
2024年4月13日初版発行
「みんなの図書館 tonaruba」
先週の金・土・日のこと。
近くのモールでのイベント。「推し本・推し活ライブラリー」。
自分の「推し本」を展示して、みなさんにお薦めしようというイベントです。
朝の散歩のとき。いつもお会いする方からイベントへの参加のお話がありました。イベントの趣旨・内容は、理解できていませんでしたが、とりあえず、了承。
そこから、どの本を展示するか、試行錯誤の末、ぼくの推しは、やはり「夏目漱石」。ということで、「吾輩は猫である」の47年前と現在の文庫本をセレクトしました。
そこから、ダイソーでイーゼルやデコレイトする小物を買ってきて、ポップを書いて、写真のとおり出品した次第です。
主催者は、トナルバ(隣る場)という3人のご婦人の団体?ここも、よくわかっていません。が、個人の発想や労力で、こういったイベントを実行するパワーには、感心しました。
さらには、会場での読書会にも誘われて、約1時間半、それぞれの「推し本」について、ディスカッションしました。
若い方が、芥川龍之介の「蜜柑」、谷崎潤一郎の「春琴抄」を「推し」たのには、興味をひきました。
月2回、読書会を開催しているとのこと。次回のご案内もいただいたので、お邪魔でなければ参加してみようかな。
なお、尿管結石は、痛みは解消したのですが、石は行方不明。よく、トイレでコロンと出たという話を聞きますが、まだ、音沙汰なしです。
ということで、余談が長くなりましたが、久しぶりの読書雑感。
これまで、様々な文学賞を受賞している津村記久子さんですが、ぼくは、多分、初見です。
路地を入ったら、道の両側に大小10軒の家が軒を並べる住宅地。そこの住民は、あまり相互の行き来がなく、無関心近所の状況です。
あるとき、刑務所からの脱走犯が、近くを逃走中とのニュース。この住宅地では、自警団を組織して夜間の監視をすることとなった。
巻頭に住宅地図と居住者の概要を掲載。
まずは、それぞれの家の家族のあれやこれやの紹介が続く。途中で、どの家が誰で、どの家が誰だか、こんがらがって頭の中は混乱。
そりゃそうです。10軒の家族その他で、登場人物は40人近くいます。
不思議と、読み進むにしたがって、頭が整理されてくる。これが、本の面白さか?
そして、脱走犯を含めて、この住宅地の住人の間に、思いもよらない関係が明らかになっていく。
この小説、ちょっとしたサスペンスでもあり、隣近所の関係について、問題提起を受けたような小説でした。
マンションでは、隣の人の名前も解らない。こんな住宅って、ほんとにいいのでしょうか?
とにかく、あらゆる社会関係において、人間関係が希薄になっていき、「人情」という言葉が空疎になってきているのは何故?