「流星さがし」
柴田 よしき
光文社
2009年8月25日第一刷発行
1600円(神戸市立西図書館)
2年前に、自民党麻生政権下で導入された「高速道路料金の休日上限1000円制度」が6月19日の日曜日で終わります。高速道路無料化を掲げて、衆議院選挙で大勝した民主党政権なのに、何で?東日本大震災の復興財源のため。それでも、民主党は、公約(マニフェスト)の見直しは行っていません。何とも、割り切れないのは、私だけでしょうか?そんなことは、兎も角として、取りあえず「駆け込み」ミーハーとして、淡路島(定価往復5000円が、割引価格2000円)へ行ってきました。目的は、ドライブとお昼の「アイランド丼」。淡路牛の牛丼です。こんな贅沢は、これで終わりでしょうか。でも、実は、休日50%OFF制度は残るので、割引価格2500円となり、500円の値上げです。それでも、消費は心理です。
『東京。
仕事で何度か来たことはある。弁護士になる前にも、友人と遊びには来た。別段、好きでも嫌いでもないところだった。観るものは無数にあり、金が続けば刺激は永遠に手に入るところ。だが、住むに値する街だと感じたことはない。ちょっとの間、観光気分で滞在して、いろいろ楽しい思いをしてさっさと帰る。それがちょうどいい街だと思っていた。』
成瀬歌義は、京都の人権派弁護士の桑沢事務所に勤務していましたが、桑沢先生の紹介で、東京の大手弁護士事務所に移籍しました。慣れない東京での弁護士の武者修行です。東京の事務所は、京都の個人事務所とは違って、大きな事件しか扱いません。顧客は、富裕層の人が多く、依頼料も高額です。歌義は、弁護士と言う職業について、何だか戸惑いを感じますが、家事調停、民事調停、民事裁判、刑事裁判など、様々な事件に携わりながら、弁護士としての経験を深めていきます。
『真紀は、歌義の目をまっすぐに見据えた。
「仕事を引き受けた以上、世界中のすべての人間が敵になっても、たったひとり、弁護する人間の味方でいないとならないの。本心がどうかなんて関係ない。良心だとか誠意だとか、そんなものも関係ない。ただただ、依頼人の、顧客の心の鏡に、どんな姿で映っているのか、それが問題なの。」』
東京の法律事務所の先輩弁護士の清洲真紀に、弁護士としての心構えを諭されます。
『歌義は、黙って頷いた。なんだか泣けて来そうなくらい、胸が痛かった。
桑沢先生の事務所では、誰が見ても困っている人、気の毒な人の為に働けばよかった。それは、儲からないけれど、ある意味、楽な仕事だったのだ。自分の良心は心地よいし、達成感も得られ、その上、感謝される。正義の味方になった気分が味わえる。でも、それだけでは駄目なのだ。駄目だと桑沢先生も思ったから、あさかぜ法律事務所で働けと言われた。』
柴田よしきさんは、警察小説、サスペンス、ミステリーなどの作品が多いそうです。柴田さんの作品は、初めて読みましたが、テンポの良い作風で、読みやすさを感じました。この小説は、弁護士の仕事を題材としていますが、お堅い法律の問題のなぞ解きはありません。むしろ、歌義と言う強い関西弁の弁護士が、懸命に弁護士と言う職業に挑む爽やかな青春小説です。