「心が大きくなる坐禅のすすめ」

tetu-eng2012-01-29

「心が大きくなる坐禅のすすめ」
中野 東禅
三笠書房
2008年7月10日第4刷発行
533円+税

今週は、わが故郷「下関」がクローズアップされています。一つは、「共喰い」で芥川賞を受賞した田中慎弥さん。下関の出身で、下関中央工業高校卒業後、進学も、就職もしないで、小説に打ち込んだそうです。受賞記者会見でのコメントが話題となりました。アカデミー賞主演女優賞(1983年「愛と追憶の日々」)のシャーリー・マックレーンの受賞談話を引用するなんて、とても37歳の若い小説家とは思えません。マスコミは、「都知事閣下・・・」に注目していますが、私は、懐かしきシャーリー・マックレーンに驚きました。

『(会見概要)
「米国女優のシャーリー・マクレーン(76)が何度もアカデミー賞にノミネートされた末にようやく取ったとき、『私がもらって当然だと思う』と言ってたらしいが、だいたいそういう感じです」(田中さんは芥川賞5度目のノミネートで受賞)
「私が断って、気の小さい選考委員、都知事が倒れて都政が混乱してはいけないので。都知事閣下と都民各位のために、もらっといてやる」』

 二つ目は、春の選抜高校野球に「早鞆高校」が選ばれました。早鞆高校は、下関の私立高校で、山本譲治の母校です。私の小学校、中学校の近くにありましたが、まあ、先程の中央工業、早鞆ともに、昔の下関では、学力的には評価の高い高校ではなかったのですが、芸術、スポーツの世界で、故郷の下関が注目されるのは、何となくうれしいことです。
 現在は、ストレス社会。このストレス社会において、メンタル、フィジカルの両面において健康であるためには、心の安らぎを保つことが不可欠です。その方法が、THE「禅」。お釈迦さまは、「坐禅」で悟りを開いたそうですが、凡人である小生は、悟りを開くなどと大それたことは考えていません。ただ、メンタル面の健康のために、「坐禅」という方法によりメンタル・トレーニングを行おうと考えたのです。これは、ストレッチによりフィジカル・トレーニングを行うのと同じロジックです。

曹洞宗の開祖・道元はいいました。
「ただひたすら座りなさい(只管打座(しかんたざ))」
「身体のリキみと心の固まりから解放されます(心身脱落)」
坐禅によって悟りを得るのではなく、坐禅の心身そのものが悟りである(即心是仏)
 つまり、悟りを求める坐禅でも、現世利益を求める坐禅であっても、ただ喜びに浸って座り、心に静寂が訪れれば、それは「すばらしい坐禅」ということです。
 まずは、軽い気持ちで座ってみてください。たった5分でも坐禅をすることで、あなたも「新しい心」「新しい自分」を実感できるはずです。』

 この本は、「坐禅」のハウ・トウ本です。目次から紹介すると、まずは、心の準備―その気になること、次に、いい姿勢(背筋を伸ばして)、いい呼吸(腹式呼吸で、集中)、そして、いい瞑想(・・・・これが難しい)。坐禅のポイントは、「調身、調息、調心」ということです。特に、座っていても、立っていても、歩いていても、呼吸を調えることが基本のようです。この方法には、呼吸の数をかぞえることによって意識を集中し、呼吸を深くしていくことで無心になっていく「数息観」という方法があるそうですが、この本では、「数息観」にこだわるよりは、丹田呼吸に意識集中して、一息一息をていねいにすることをおすすめしています。