「ビブリア古書堂の事件手帖 5」
三上 延
アスキー・メデイアワークス
2014年1月24日発行
570円(税別)
今週は、最初にGOODなニュースを一つ。「最後から二番目の恋」のファンの皆様!お待たせしました。4月よりフジテレビ系にて、毎週木曜日22時より、木曜劇場「続・最後から二番目の恋」の放送が始まります(小泉今日子&スタッフより)。今から、4月が楽しみです。はやく、4月になれって、まだ、一月以上ありますね。
第150回芥川賞受賞の「穴」。うむ、途中で、読むのが嫌になりました。したがって、ほとんど、斜め読みですね。筋書きは単純、旦那の実家の近所に引越しをした嫁さんのお話。てっきり嫁姑の話かと思いきや、何だか、意味不明な「獣」がでてきたり、河原の「穴」に落ちたり、虫がでてきたり、支離滅裂。まるで、「トトロ」のファンタジーのない話のようです。前回の「爪と目」のときも、書きましたが、最近の芥川賞の作品は、文章の複雑化、技巧化ばかりで、小説に必要なロマンやファンタジックな世界が欠落しています。読了後の清涼感のかけらもない作品が多すぎます。もう、芥川賞は、読まね〜ぞ!と言いながら、ついつい、期待してしまうのよね。 もう一つ、何故、直木賞は、2作品なのだ。1作品に絞ってよ。それが、審査員の役割デショウ。って、だんだん、言葉がきつくなりました。それぞれの受賞作家さんのこれからの活躍に期待しています。
話を本題に戻します。待ちに待った、1月24日(金)、会社のお昼休みに近所の「紀伊国屋神戸店」へ、はやる気持ちを抑えながら行きましたよ。ありました。エスカレーターの近くに、「ビブリア」が平積みされていました。おおかた、1年ぶりの篠川栞子さんと五浦大輔くんとの再会です。
今回の謎を解く課題図書は、リチャード・ブローテイガン「愛のゆくえ」(新潮文庫)、「彷書月刊」(弘隆社・彷徨舎)(古書情報の月刊誌)、手塚治虫「ブラック・ジャック」(秋田書店)、寺山修司「われに五月を」(作品社)です。
『「きらめく季節に・・・」
ふと栞子さんがつぶやいた。彼女は四人掛けの席で俺の向かいに座り、杖を抱えたまま外を眺めている。
「たれがあの帆を歌つたか。つかのまの僕に、過ぎてゆく時に・・・」
目が合うとみるみるうちにボリュームを下げ、顔を赤らめてうつむいてしまった。
「なんですか、それ」
「べ、別に・・・・今のは、なしで・・・・」
「でも、いい言葉だったんで」
ぱっと彼女は顔を上げる。レンズの奥で大きな瞳が輝いていた。
「大輔さんもそう思いますか?」
「えっ?はい」
「わたしも大好きなんです。これは寺山修司の「五月の詩」といって、「われに五月を」の冒頭に収録されている作品です。』
さらに、栞子さんの一言。
『「作り話だからこそ、託せる思いもあるんです。もしこの世界にあるものが現実だけだったら、物語というものが存在しなかったら、わたしたちの人生はあまりにも貧しすぎる・・・・現実を実り多いいものにするために、わたしたちは物語を読むんです。」』
栞子さんと大輔くんの恋のゆくえも、どうなるのか?ここからというところで、邪魔が入って、次巻に続くとなりました。「ビブリア」は、まだまだ、ぼくを楽しませてくれそうです。