「動的平衡」

tetu-eng2017-08-06

動的平衡」 
福岡 伸一
2011年12月55日第11刷発行
木楽舎

動的平衡―生命はなぜそこに宿るのかー

12年前に体調を崩してから懇意にしている先生から薦められた本です。先生とは、ときどき、本の貸し借りをしていますが、ぼくが薦める本は小説がほとんどですが、先生からはノンフィクションのやや難しい本を薦められます。それでも、比較的読みやすい本を薦めてくれるので、興味を持って読んでいます。

福岡伸一さん。最近、よくテレビで拝見します。肩書きは生物学者ですが、「生命とは何か」というテーマで数冊の本を出しているようです。この本も、「生命とは何か」がメインテーマです。

『私たちが食物として口に入れたものは、肉にしろ、穀物にしろ、果実にしろ、すべて元はといえば他の生物の身体の一部であったものだ。なぜ、私たちは他の生命を奪ってまで、タンパク質を摂り続けなければならないのだろうか。
タンパク質には、元の生命体を構成していたときの情報がぎっしり書き込まれている。ここでいう情報とは、具体的にいえば、タンパク質の構造のことである。このタンパク質の構造情報が生命の機能を支えている。』

うむ、何だか判らないけれど、どうも、豚の肉を食べると、豚のタンパク質の構造情報が体内に入り込んでいるらしい。タンパク質の構造情報って何?疑問?どうも、構造情報は、消化作用により解体されるらしいです。そして、アミノ酸にまで分解されて吸収されるらしいです。じゃあ、それで、どうなるの?アミノ酸は、細胞内に取り込まれて新たなタンパク質に合成されるらしいです。ということは、ぼくの細胞の中には豚の情報は、なくなるということでしょうか?うむ、判らない。

『アンチ・アンチ・エイジング
私たちが棲むこの宇宙において、輝けるものはいつかは錆び、水はやがて乾き、熱のあるものは徐々に冷えていく、時間の経過の中で、この流れに抗することはできない。
科学はこれまで人間に可能なさまざまなことをもたらしたが、同時に人間にとって不可能なことも教えてくれた。それは時間を戻すこと、つまり自然界の事物の流れを逆転することは決してできない、という事実である。』

タンパク質のくだりは、「生命」というものを解きほぐすための一時例であり、そのほか、さまざまな生物学的な見地から「生命」という命題を考察してくれている。もちろん、専門的な用語など多いので、意味不明なこともありますが、最後は哲学ですね。「アンチ・エイジング」なんて「アンチ」なんです。そして、最後に筆者は、次のように、締めくくっています。

『私たちにできることはごく限られている。生命現象がその本来の仕組みを滞りなく発揮できるように、十分なエネルギーと栄養を摂り、アスティナビリティを阻害するような人為的な因子やストレスをできるだけ避けることである。つまり「普通」でいるということが一番であり、私たちは自らの身体を自らの動的平衡にゆだねるしかない。』

久しぶりに、科学的な本を読みましたね。たまには、この類の本も面白いです。この本、お薦めですが、もう一度、読み返さないと、ストンと腹に落ちない感覚はあります。そう、ぼくは、二度、読みました。