「真夜中のパン屋さん 午前0時のレシピ」

tetu-eng2018-01-21

真夜中のパン屋さん 午前0時のレシピ」
大沼 紀子
2012年2月25日第20刷
ポプラ文庫

やれやれ!

はなから愚痴で始まります。年末年始を機嫌よく過ごしたにもかかわらず、先週は、記憶にも記録にもない入眠障害に陥ってしまいました。毎夜、毎夜、寝つきが悪く往生しました。お得意の導入剤を服用して凌ぎましたが、23時30分にベッドインして、寝付くのが1時から1時半。翌朝、5時半ごろ目覚めるので、4時間睡眠・・・・さすがに、昼間、ぼんやりでした。

この不調、血圧や血液検査など、数値などを測定する術がないので、なんとも、事前に、予測不可能です。こういう状態を自律神経失調というのでしょうか?それならば、自律神経が失調しているかしていないかを測定する器械があれば、「おっ、今日はやばいね。薬を飲んどこ!」なんて、予防が可能になるのですが・・・。シスメックスさん、そんな測定器を開発したら、また、大儲けできますよ。

まあ、ぼくの持病ですから、そのうちケセラセラですね。

さて、面白くもない余談は、このくらいにして、読書雑感です。

最近、面白そうな本がないので、またまた、書棚から未読の本を引っ張り出しました。「真夜中のパン屋さん」シリーズの第一巻です。ちなみに、シリーズは、「午前0時のレシピ」「午前1時の恋泥棒」「午前2時の転校生」「午前3時の眠り姫」「午前4時の共犯者」「午前5時の朝告鳥」と初刊が2011年、完結が2017年というロングランです。

『そのパン屋は、そんな駅から少し離れた、住宅街の手前あたりにポツンとある。
店の前に掲げられたクリーム色の看板には、「Boulangerie Kurebayashi」と記されている。ブランジェリークレバヤシ、フランス語でパン屋クレバヤシという意味だ。半月ほど前、そのパン屋はオープンした。営業時間は、午後二十三時から午前二十九時。真夜中の間だけ、開くパン屋さんであるらしい。
店員は二名。ひとりは、白いコックスーツを着た男だ。年の頃は三十代後半といったところか。
もう一人の店員は、特別にあつらえたとしか思えない、墨色のコックスーツを着た若い男だ。』

白いコックスーツがオーナーの暮林陽介。墨色のコックスーツがパン職人の柳弘基。

このパン屋さんに、突然、女子高生の希実が転がり込んできて居候。そして、それから、さまざまな事件に巻き込まれますが、倉林、柳そして希実のそれぞれの愛すべきキャラクターが、人情味あふれるやり取りで、事件に対応していきます。いわゆる「人情話」ですかね。シチュエーションは違いますが、小路幸也の「東京バンドワゴン」に似ていますね。すべては、「愛」なのです。

『パンというのは、完璧な存在だと弘基は思っている。完璧な配合と、完璧な手順と。完璧な技術によって、完璧にかたどられていく。人もそれに、どこか似ている。他人と交じり合い、形を変え熟成し、各々の人間になっていく。ただそこには悲しいかな。完璧さというものが、パンほど必要とされないのも事実だ。むしろ人は、その不完全さを愛したりもする、実にやっかいな生き物なのだ。』

そう、すべては、「愛」なのです。