人の顔を描くのは、難しいです。山藤章二の「似顔絵」(岩波新書)によると、「似せて描こうとする場合、何が一番ポイントかというと、ふつうはヘアスタイルなんです。顔といいながら、目でも鼻でも口でもなくて、ヘアスタイル。そこから似せると、まず6~7割は似てくる。」
たしかに、黒柳徹子のように、特徴のあるヘアスタイルであれば、そうかもしれませんが、一般人は、そんな特徴的なヘアスタイルの人はいない。そこで、あるテレビの番組で、簡単な似顔絵の描き方を紹介していました。
①まず、輪郭と(やはり)ヘアスタイル
輪郭は、長方形、正方形、ベース型、長丸、真ん丸、三角形、逆三角形、ひょうたん型など大胆に書く。ヘアスタイルは、特徴をおおげさに。
②顔の配置
9等分して、目、鼻、口の位置の目安をつける。真ん中よりの顔、目の離れた顔、鼻の下が長い顔など、これも特徴をおおげさに。
③目、まゆげ
細かく書かない。上がり目、下がり目、大きい目、小さい目、その程度に。
④鼻
丸い鼻、三角の鼻など大胆に
⑤口
優しいイメージは谷型、怖いイメージは谷型、その程度
そこで、書いてみました。それぞれ、ひょっとして「オレ」かも、と思われる方、ご不満はあるとは思いますが、ジョークと思って勘弁してください。あっ、最後に、着色しない(素人は)とのこと。
またまた、余談が長くなりました。似顔絵とは無関係な「じっと手を見る」
介護職の「海斗」と「日奈」の物語。二人は、介護の専門学校の同級生。富士山を望む街で、介護の仕事に従事している「海斗」と「日奈」は、恋人未満、友達以上の関係。それでも、同棲生活をしていますが、日奈は、なぜか、今の生活に満足できていませんでした。
そんなときに現れた「宮澤」を追って、街を出ていきます。一方、海斗は、街に残って、新たな出会いがありますが、それも、幕をとじました。
この二人、どうなるのかな?と、思っていたら、・・・・。
『今年の春も四人の新人が入ってきて、すでに二人やめた。
そりゃそうだ。若いやつらにとって楽しい仕事じゃない。
毎日、毎日、皺だらけの老人に囲まれていれば気も滅入る。自分が世話をしていた利用者が死んでいくことも多い。だけど、確実に食べられる。贅沢をしなければ。ただし、そのことの有り難さに気がつくのは時間がかかる。自分の価値とか、仕事のやりがいとか、そんなことにこだわっているやつらほど、時間をおかずにここを離れていく。自分はこんなところにいるべき人間なんだ、と割り切るまでは、俺だってずいぶん時間がかかった。いや、今だって割り切れてはいないのだ。』
介護の現場をテーマにしながら、若い二人の心の動きを表現して、読者が、場面場面で「そじゃないだろ」「そうかも」などの感想を抱えながら楽しめる小説です。窪さんの本は、二冊目だと思いますが、ファンになりそうです。