「本と鍵の季節」

「本と鍵の季節」

米澤穂信

2021年6月25日第1刷発行

集英社文庫

  

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木馬 神戸は、ジャズの街。「木馬」は、元町駅からトアロードの坂を県庁方面に行くと、道沿いに看板が見えます。

看板には、ジャズ喫茶とありますが、「木馬ベーカリー」の看板も。「えっ?パン屋さん」広くない店ですが、バックミュージックは、ジャズナンバー。雰囲気は、悪くはありません・・・が、四人組のご婦人のランチ会とバッティング。

それでも、オードリー・ヘップバーンのパネルを眺めながら、1時間ばかり、レコード聴きながら、読書。

  

やれやれ、またまた、コロナウイルスの第5波が襲来か?招来か?兵庫県も、緊急事態宣言を要請するらしい。不要不急の外出、帰省などは、自粛の要請。お盆のお墓参りは、2年連続中止。

 

折角、ワクチンの接種が、完了して、2週間経過したので、抗体はバッチリのはず。今年は、暑気払いも墓参りも、解禁かと、思っていたのですが・・・・。

 

自宅で、ご先祖様のフォトグラフに「般若心経」を唱えています。何年前に流行ったでしょうか。「わたしのお墓の前で 泣かないでください そこにわたしはいません 眠ってなんかいません」

 

子孫も、年を取って、このままでは、お墓参りも行けなくなってしまいそうです。ぼくのプリンシプル、「愛妻・納税・墓参り」が遵守できなくなりそうです。・・・「愛妻」だけはなんとか。

 

こんなときは、自宅で読書が一番。余談のあとは、「本と鍵の季節」の読書雑感です。米澤さんは、初めてです。推理小説の作家さんですか?主役は、高校2年生の二人、ストーリーが、二人の推理となれば、この本は、青年・推理小説

 

『本を探している!なんと本格的な、そして久々の図書室利用者であることか。僕が図書委員になったのは本が好きだからではなく、なんとなく選んだ結果に過ぎないけれど、それでも本分を尽くせるというのは意外に嬉しいものだ。声も心なし弾んでしまう。

「なんて本ですか」

その三年生は首を傾げた。

「それが、題名がわからない」

大いによろしい。あやふやな情報から書名を絞り込んでいくのは、まさに図書委員の腕の見せ所だろう。』

 

高校2年生の堀川次郎(ぼく)と松倉詩門は、図書委員として、利用者の少ない学校図書室で図書の貸し出しなど図書の管理をしている。ある暇そうな午後。3年生の先輩が図書室を訪れたてきた。

 

先輩の依頼は、自殺した同級生が、読んでいた本を探してほしいという。なぜ、かれは、そのような依頼をしてきたのか?疑問に思うが、まずは、本の特徴の聞き取りから始まった。本には、バーコードが三つあった。

 

『一般に流通している本には二つのバーコードがついていて、ひとつは値段を表わし、もうひとつはISBNコード、つまり本の識別番号を示している。そうした本が図書室に収蔵されるときには管理用バーコードが裏表紙の下部に貼り付けられるので、バーコードの数は三つになる。』

 

なるほど、今度、図書館で本を借りるときに観察してみよう。この検証で、捜している本は、図書室の本であることが推理できるわけです。

 

本と鍵にまつわる二人の推理が軽妙に展開される短編6編の連作小説でした。