松下からパナソニックへ

パナソニック

■松下からパナソニック
「明るい! ナショナル! 明るい ナショナル〜 ラジオ テレビ 何でも〜 ナショナル〜」誰でも、聞き覚えのある松下電器のコマーシャル・ソングですが、何時の頃から、流れているのかは知りませんが、このコマーシャル・ソングが、変わることとなりそうです。
11日の朝日新聞朝刊のトップ記事は、「松下の「タブー」脱皮―パナソニックに社名変更―」の見出しでた。
「えっ 松下電器って社名を変更するんだって」と、多くの家のお父さんが朝食を食べながら新聞を読みながらの「ながら族」の途中で、驚きの声を発したものと思います。
「そうらしいね」我が家の細君は、『すでに、承知の助三郎』を装い知ってますよ、とばかりに朝食のパンにバターを塗っていました。何故、細君が知っているのだろうと考えてみると、昨日、私は、S部長と会議の後、会社の近くの「Mごろう」でアルコール付きの反省会をやって帰宅が遅くなったので、おそらく、その間にニュースで流れたものであろうと推測しました。
「ねえ、ナショナルとパナソニックってどうちがうの?」っと、私は、新聞を眺めながら先人の知恵を頼みます。
「冷蔵庫や洗濯機などの白物家電がナショナルで、テレビやステレオなどのAV機器がパナソニックよ」すかさず先人の知恵をご披露いただき、「ふ〜ん」と、よく見ると新聞に図解入りで説明書きがありました。インターネットで、事実関係を詳しく調べてみると、松下電器株式会社のプレスリリースは、次のとおりでした。

グループ全活動をグローバルブランドの価値向上に結集〜
松下電器産業株式会社が「パナソニック株式会社」に社名を変更
〜国内ブランドも「Panasonic」に統一
松下電器産業株式会社は本日開催の臨時取締役会において、2008年10月1日付(予定)で社名を「パナソニック株式会社」(英文表記:Panasonic Corporation)に変更することを決議しました。本年6月下旬開催予定の定時株主総会において定款変更が承認されることを条件として、社名変更を実施します。
また現在日本国内の白物家電・住宅設備機器分野の商品に使用しているNationalブランドは、社名変更と同時にPanasonicへの切り替えに着手、2009年度中を目途に廃止し、国内ブランドもPanasonicに統一します。

松下電器と言えば、経営の神様と言われた松下幸之助が創業者であり、その立身出世伝は、伝記本となり、多くの子供たちが読んだものです。当然、私も、子供の時分に、大阪でソケットの開発物語を読みましたし、大人になってからも、題名は忘れましたが三洋電機の井植一族に関する本の中で、松下幸之助井植歳男松下幸之助の細君の弟で松下電器創業時の共同事業者。戦後、GHQの公職追放松下幸之助を庇って松下電器を去って、三洋電機を起業。)の企業経営の努力を知りました。
その松下電器株式会社が、社名を変更し、商品ブランド名を統一しようとする最大の理由は、「ノスタルジーに浸るより、国際競争の生き残りを優先する。」という現経営陣の断腸の思いによる経営判断であるということである。
パナソニックのブランド力は、世界78位、1位はコカコーラで、電気メーカーでは、サムソンが21位、ソニーが25位だそうです。ちょっと、驚きの数字ですが、ナショナルのブランドでは、海外では、商品競争力がないということです。すでに、国内市場が飽和状態で、国外市場を目指した経営が、松下の至上命題だったのです。そのために、ブランドの統一化と社名の変更が必要だったということです。
兄弟会社のような三洋電機が、同族経営問題で揺れている中で、この経営判断は、松下創業以来の勇気ある決断だと思います。ファンヒーター問題では、すべてのコマーシャルをお詫びと商品回収に傾注した松下なので、きっと、これから、ブランドのPRに全力を傾注することと思います。日本では、中高齢者は、「明るい!ナショナル」が浸透しており、パナソニックのブランド名は、おそらく苦戦すると思いますが、将来を見据えた松下のこのブランド戦略が、どのような効果を発揮するのか興味のあるところです。
企業にとって、「ブランド力」が商品を販売するたに極めて重要なファクターであるということを知らされた記事でした。