「騎士団長殺し 第2部 遷ろうメタファー編 上」

騎士団長殺し 第1部 顕れるイデア編 下」
騎士団長殺し 第2部 遷ろうメタファー編 上」
村上 春樹
平成31年3月1日初刷発行
平成31年4月1日初刷発行
新潮文庫

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表題が似ているので、先々週と同じ内容かと勘違いしてはいけないので、お断りします。先々週は、「第1部 顕れるイデア編 上」ですが、今週は、「第1部 顕れるイデア編 下」と「第2部遷ろうメタファー編 上」ですよ。

先週、株式投資のことを、すこし書いたので、もうすこし補足しましょう。日本は、株式投資を好ましくないと考える風潮があります。「博打」と同じように思うのでしょう。汗水流して働くのではなく、不労所得を得ようとする行為と考える儒教的な精神でしょうか?

もうひとつ、株式投資は、リスクが大きい。貯金は、リスクが少ない。という偏ったイメージがあるのでしょう。たしかに、株式投資で大きな損失を抱えたという話は、バブルが崩壊した後に耳にしました。

まず、株式投資は「博打」ではありません。貯金は間接投資(銀行が預金で投資する)、株式投資は直接投資です。いずれにしても、投資をしているのです。その投資を人任せにするか、自己責任でやるかの差なのです。「この差ってなんでしょうか?」

つぎに、株式投資はリスクが大きい。いえいえ、預金はインフレになったら、価値が大きく下落しますが、株式投資は価値が上がります。会社の経営者は、敢えてリスクのある経営はしません。ただし、短期投資か、長期投資か、によって違いはあります。時価総額1兆円の会社に長期投資するのは、預金するより余程、安全だし、効率がいいと思います。もちろん、ポートフォリオを考えるのは、当然ですし、信用投資はダメです。
以上が、ぼくの株式投資のポリシーです。

3月下旬から、ぼくは、すっかり「騎士団長殺し」のワールドに浸っている。第一部の上下2冊、第二部の上を読了して、いよいよ第二部の下、物語の最終章に突入しています。

これまでの「あらすじ」を引用で紹介します。

『初夏にここに越してきて(小田原の山中)、ほどなく免色(メンシキ)と知り合い、彼と一緒に祠の裏手の穴を暴き、それから騎士団長が姿を現し、やがて秋川まりえと叔母の秋川笙子が私の生活に入り込んできた。そして性的にたっぷり熟した人妻のガールフレンドが私を慰めてくれた。雨田具彦の生き霊だって訪ねてきた。退屈している暇はなかったはずだ。』

 もう、ぼくの部屋には、体長60センチの飛鳥時代の衣装に身を包んだ騎士団長が机の隅に座っているかもしれません。そして、こう言うのです。

『「知ってのとおり、人間界は時間と空間と蓋然性という三つの要素で規定されておる。イデアたるものは、その三つの要素のどれからも自律したものでなくてはならない。であるから、あたしがそれらに関与することは能わないのだ」』

 どうも、キーワードは「人間界は時間と空間と蓋然性という三つの要素で規定されている」のようです。さて、行方不明となった秋川まりえの行方は? 謎の穴の真相は? 雨田具彦の「騎士団長殺し」の絵の語るものは? そして、免色なる人物の真の目的は? いよいよ、物語は、佳境に突入です。