「やめるときも、すこやかなるときも」

「やめるときも、すこやかなるときも」
窪 美澄
集英社文庫
2019年12月17日第二刷発行

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兵庫県 緊急事態宣言」


ついに、行くところがなくなりました。


先月、2日から、ぼくが贔屓にしていた神戸外大、流通科学大学の図書館の一般利用が制限され、当然、学食の利用も制限されてしまいました。この時点で、平日の行き場を失ったわけです。


そこで、細君と二人で、車で京都などをチョロチョロしていたら、今度は、不要不急の外出制限とのこと。チョロチョロは、不要不急だね。


さらに、ウクレレサークルも自粛、テニススクールも休講・・・あとは、座禅の「龍象院」のみですね。とにかく、外部との接触が、ほとんどなくなり、毎日、ウォーキングに精を出しています。


我が家では、「Seisin Wandering Journey」もしくは、「Seisin Without a Map」と名付けていますが?要するに、家の周辺をあてもなく、歩き回っているということです。


あてもなく・・・ではなく、一応、ニュウータウンの周辺のコンビニをターゲットにして、そこで、100円の珈琲を愉しむ?という目的はあります。セブンイレブンファミリーマート、ローソン、デイリーヤマザキ・・・それぞれ、味が異なるというのが面白い。


唯一、ラッキー?だったのは、二週間前にDrinking Partyに二日連続で参加し、翌週も予定していましたが、そちらは中止。でも、何となく、14日が過ぎるまで、ちょっと、ドキドキでしたがね?なにせ、感染者の70%が男性、感染経路不明の原因は、夜の飲み会らしいから・・・!


そんなこんなで、タイトルは、結婚式の定番スピーチ「やめるときも、すこやかなるときも」窪美澄さんの小説を読むのは、きっと、初見です。この年になると、無難な道を歩むので、初めての作家さんの小説を読むのは、これも、チート、ドキドキです。


家具職人の壱晴と広告代理店の営業の桜子は、友人の結婚披露宴のあと、お互い泥酔して一夜を共にします(正確に言うと同じベッドで寝ていただけ)。後日、壱晴の家具展示会のパンフレットの作成で、偶然、壱晴と桜子は、出会いました。ここから、ストーリーが始まります。


ところが、突然、壱晴の声がでなくなります。大学生の頃から、毎年12月になると1週間、この症状がやってきます。心療内科の診察では、「記念日反応」とのこと。この時期に、トラウマになるような出来事があったことが原因らしい。


壱晴と桜子は、少しづつ親密になり、二人は、壱晴が高校時代を過ごした松江に旅行に行きます。壱晴の「記念日反応」の原因となった事件が起こった松江。壱晴が、トラウマとなった高校時代に体験した事件とは何か?それは、この小説を読んでからのお楽しみです。

『「桜子・・・」私も足を止める。
「医者に昔いわれたんだ。その出来事が起こった場所にもう一回行ってみる方法があるって。信頼できる誰かと行けば、声が出るようになるかもしれないって。だから僕は桜子とここに」
私は頷く。』


 ラスト、壱晴の家具展示会には、「sakurako」のタイトルの椅子が展示されていました。


 久しぶりの純愛小説ですね。へえ!窪さんって、こういうスタイルの小説なんだ。ぼくにとっては、好感度の高い小説でした。