「炎環(えんかん)」

「炎環(えんかん)」
永井路子
文春文庫
2021年11月25日第9刷

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テニスラケット 1年ぶりにラケットのガットを張り替えました。ブルーのカラーリングにブルーのガット、お洒落でしょう。

 

毎週日曜日、隔週月曜日のテニス。この程度の頻度のテニスでも、ガットの弾力がなくなるらしいです。使用頻度で劣化するというより、温度変化などでの劣化のほうが顕著とのこと。


ぼくのテニスは、非力なためラケットが頼りです。ラケットを出しておけば、ラケットがボールを返してくれる。そのためには、ガットは、大切なアイテムですね。


よく、下手くそなテニスだから、道具は、どうでもいい。なんて、言う人がいますが、まったく、逆だと思います。下手くそだからこそ、道具にこだわって、道具に自分の腕前をフォローしてもらう。


実は、その方が、手首や肘などの間接への負荷を減らすことができる。つまり、怪我をしないということ。いつまでテニスを続けられるか分かりませんが、ぼくにとっては、シューズとラケットは、大切な相棒なのです。


余談のあとは、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」。


毎年、新しいドラマが始まる前に、ドラマ原作を読み終えて、ドラマを愉しむのが、ぼくの習慣でした。昨年末に、ジュンク堂で、物色したのですが、この時代の歴史小説、特に、北条氏にまつわるものが見当たりませんでした。


ほぼ、諦めていたところ、今年になって、喜久屋書店で見つけました。それが、「炎環」です。1964年の直木賞の受賞作です。約60年前。さすがに、ぼくは、読んでいません。が、永井路子さんの「北条政子」や「山霧 毛利元就の妻」は、読んだ記憶があります。


女流の歴史小説の大御所です。御年96才。まだ、お元気なのでしょうか?永井さんの「雲と風と 伝教大師最澄の生涯」という本を探しているのですが、新版が出ているはずですが、ジュンク堂には、在庫なしです。


「炎環」も、大河ドラマに合わせて、増刷したのでしょう。永井さんの歴史小説は、女性がモデルのものが多いのですが、それだけに、細やかな描写が、小説全体を優しくしています。


この小説は、鎌倉幕府の初期の4人を主役とした物語の連作になっています。「悪禅師」の阿野禅師(源頼朝の異母弟)、「黒雪賦」の梶原景時、「いもうと」の北条政子の妹の保子、そして、「覇樹」の北条時宗と北条四郎。


鎌倉幕府は、源家3代のあとは、御家人集の合議政体であったことは、日本史で習いましたが、なぜ、徳川のような世襲征夷大将軍ではなかったのか?


『頼朝は武家の棟梁といいながら、むしろ公家的、京都的な性格が強かった。武家と公家との間に立つ危うさが逆に彼を支えていたともいえよう。草創期の武家社会にはそうした人間も必要だったが、いまは事情が変わりつつある。単なる武家の象徴としての将軍家よりも、もっと逞しい土の匂いのする彼等自身の代表者の登場が望まれだしているのだ。
が、具体的に比企か北条かということになると複雑な利害がからみあってどうにもならず、とどのつまり合議制に落ち着いた。』

 

以上が、永井史観です。永井史観を踏まえて、「鎌倉殿の13人」を鑑賞すると、また、100倍おもしろくなります。って、どっかで聞いたフレーズ。

つぶやき、新年早々

つぶやき、新年早々

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素戔嗚尊スサノオノミコト)神社(別名 江坂神社)

スサノオは、イザナギイザナミの子、アマテラスの弟。乱暴者で、アマテラスを怒らせ、天岩戸事件の原因者。アメノウズメなどのバカ騒ぎで、一件落着。その後、出雲に降りて、ヤマタノオロチ退治で大活躍。クシナダヒメを娶って、須賀の宮(出雲)で落ち着く。そのスサノオノミコト主祭神

 

 

日経新聞(1月5日朝刊)経済教室のページ

私見卓見「修士号を目指して広がる世界」投稿者は、歌手岩崎良美

 

うん、岩崎良美さんって、あの「タッチの!」歌手デビュー42周年、桜美林大学経営学を学んでいるとのこと。高校卒(堀越高校)でも入れる大学院があることを知ったとのこと。

 

『60歳にしてゲーム理論や企業再生を学ぶうちに、世の中の見方が変わった。

学び直しは、歌手としての姿勢も変えた。大学院の課題をこなしているうちに、コンサートの準備も段取りよくこなせるようになった。

今は、絵本の読み聞かせをビジネスにできないかと、論文を読んだり、周囲と議論したりしているところだ。』

 

新年早々、元気をもらった投稿記事でした。ぼくも、老け込んでなくて頑張ろう。「1年の計は元旦にある。」と、さて、何をしようか???と、考えているうちに気持ちがなえてきました。

 

これが、頑張る人と、そうでない人の「差」。これも人生と、うそぶいて「ふて寝」をする。

 

そうこうしているうちに、今週の月曜日、夕方、テニスから帰宅して、お風呂に入って、いい気持になっているとき。突然、ほんとうに突然、右肩に違和感、あれよあれよと、右肩が上がらなくなってきました。もちろん、腕を動かそうとすると激痛。

 

そのまま、食事の時も、右肩が上がらず、なんとも不自由なこと。こりゃ、どうしたことか?着替えをするときも、呻きながら。寝るときも、呻きながら。まいったな?とりあえず、明日、整形外科に行う。

 

といことで、火曜日、久しぶりに整形外科を受診。レントゲンを撮って、骨の異常をチェック。「骨には異常はないね。準備運動不足じゃないの。とりあえず、温熱と低周波やっとく。」で、リハビリルームで30分。お決まりの整形のコース。

 

なんと、ちゃんと、痛み止めと胃薬とシップを処方してくれていたので、薬を服用しながら、2日ほど安静にしていました。

 

すると、ぼくは、まだ、若い。みるみる回復して、今日、また、テニスに行きました。新年早々、いったい、あの「痛み」は、何だったんだろう?

 

新年早々の「感動」と「激痛」でした。

「クロイドン発12時30分」

「クロイドン発12時30分」
F・W・クロフツ 霧島義明訳
創元推理文庫
2019年2月22日第1刷発行

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太山寺表門 小寒、もうすぐ大寒、1年で一番に寒い季節です。外気温が、4度。それでも、坐禅修行。といっても、温風ヒーターを横において。でも、室内気温12度。純日本家屋のお寺は、寒い。

 

「なんてこったい。」


年末には、一桁だった感染者数が、わずか2~3週間で、1000人超(兵庫県)とは?すごい感染力です。今年も、コロナで新年が始りました。2019年の年末からスタート。2020年、2021年、と足かけ3年目に突入です。


スペイン風邪の終息に、おおむね3年を要したとのこと。あと、1年。21世紀の科学をもってしても、20世紀初頭の感染症と代り映えなし。もちろん、ワクチンなど先進科学により、影響は、最小化されたかも。


第5波の時だったら、とうに緊急事態宣言だが、たぶん、医療のひっ迫度が違うのかな?感染者の数は、毎日、公表されるが、その詳細は不明。大まかには、伝えられるが、多分、これを公表すると、気が緩むとの忖度かな?


南アフリカは、収束気味とのこと。とすると、あと一か月か?それまで、手洗い、うがい、三蜜回避の基本対応ですね。そうそう、予定していた新年会は自粛しました。

 

以上、余談。今週は、めずらしく翻訳本です。


F・W・クロフツ(1957年没)フレンチ警部推理小説が多数。この小説は、1937年の発表のクロフツの代表作です。推理小説の古典とも言っていいかも。そして、2年前に、新訳本として発行されました。


「クロイドン」は、倒叙ミステリの名作です。

 

『通常のミステリとは異なり、最初に犯人の行動を描き捜査によって犯行の過程が暴かれるという、叙述の順序が逆転した手法=倒叙形式を採った作品』

 


クロイドン(ロンドン近郊)発12時30分のパリ行きの飛行機の機内で、アンドルー・クラウザーが突然の死を遂げます。自然死ではなく、薬物による他殺。犯人は、甥のチャールズ。シアン化カリウムを使用した毒殺です。そのとき、チャールズは、休暇で旅行中。


この推理小説は、とても贅沢な内容です。推理小説として、あらゆるテクニックが、詰め込まれています。犯行の動機、犯行の手順、はもちろん。犯人の心理ミステリ、フレンチ警部の警察ミステリ、駆け引きの法廷ミステリなど、贅沢にも、最後に、フレンチ警部による謎解き迄。

 

『哀れな幕引く切れとなった公判から数週間経ったある晩、ロンドンのホテルの一室でささやかな会合が開かれた、集まったのは、ルーシャス・ヘブンストール(勅選弁護士:被告側)、エヴァラード・ビング(法廷弁護士:訴追側)、アレクサンダー・クイルター(チャールズ顧問弁護士)、ルーカス警視(コールドピッカビー警察)、フレンチ警部スコットランドヤード)の五人。純然たる社交の集まりというわけではない。』

 


フレンチ警部が謎解きを語り始める。


小説は、24章で構成されており、翻訳本としては、とても、読みやすいのと、登場人物が、左程、多くないのは、ありがたいですね。


ただし、倒叙ミステリは、犯人が、どんどん、追い詰められていくので、なんだか、気の毒になってくる、そう思う、ぼくは、変かな?

「熱帯」

「熱帯」
森見登美彦
文春文庫
2021年9月10日第1刷発行

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明石天文館 東経135度 日本の標準時刻 なぜ、東経135度が標準時刻になったか?なぜ、東京(東経140度)にしなかったのか?答えは、15度で割り切れるから。(グリニッジ標準と、ちょうど9時間の時差)(チコちゃん)。なぜ、明石が子午線の街なのか?答えは、明石が一番に手を上げたから(諸説あり)。

 

年明け一番手のお出かけは、近場で行ったことのない「明石天文科学館」でした。国道二号線を走ると、いつも目にする「時計台」。でも、行ったことがない。


入館料 大人700円。でも、65歳以上は、半額。明石在住の65歳は、無料。いいね!


ちょうど、1時10分のプラネタリウムの上演に間に合いました。何年ぶりだろう。たしか、そのむかし、むかし、池袋のサンシャインシティで見たような記憶があります。


リクライニングシートを傾けて、天井に、夕方から夜明けまでの冬の星座が映し出されます。解説を聞かないと、さっぱりわかりません。


なにせ、天文についての知識は、ゼロ。覚えているのは、「水・金・地・火・木・土・天・海」程度です。ぼくのころは、冥王星も惑星だったけど。


アルデバラン(おうし座の一等星)も出てきました。「アルデバラン」って、朝ドラ「カムカムエヴェリバディ」のAIが歌う主題歌です。


一番、不思議なのは、星をつないで星座に見える?どう見ても、見えないのに、なぜ、「おうし座」とか、「オリオン座」とか、とても、言われても、イメージできませんけど。古代ギリシャでは、イメージできたってこと??


ありゃ、余談が長くなりました。


森見登美彦さんの「熱帯」・・・とても、大作です。でも、高校生直木賞に選定されています。

 

『汝のかかわりなきことを語るなかれ
 しからずんば汝は好まざることを聞くならん』

 


冒頭、何のことだか、わからない一文で始まりますが、実は、最後まで、何のことだか、わかりませんでした。とても、不思議な物語です。


そう、「千夜一夜物語」のように。

 

『「千夜一夜物語」に収められた膨大な物語のほとんどは、シャハラザードがシャハリヤール王に語ったものとして語られる。
「シンドバット」「アラジン」「アリババ」は、いずれも本来は「千夜一夜物語」に含まれていない。』

 


そうだったのですね。18世紀に、この物語が西洋に紹介される過程で、いろいろな物語が紛れ込んだらしいのです。


そして、この終わりのない「熱帯」という物語も、「千夜一夜物語」に紛れ込まそうとする森見登美彦さんの壮大な意図があるのかないのか。


「熱帯」という物語を求めて、「学団の男」「不可思議な群島」「魔王」「満月の魔女」の物語が語られる。まるで、「千夜一夜物語」のように。


年末年始にかけて、久々のファンタジーノベルを愉しみました。

つぶやき、謹賀新年

つぶやき、謹賀新年

 

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あけましておめでとうございます。

令和4年(2022年)。

 

 

昨年末、12月31日に、ちょっと、頑張ったことから。

 

まず、本箱からあふれ出した単行本、文庫本、約200冊を思い切って「BOOK OFF」に持っていきました。一度しか読んでいないので、資源ごみに出すのは、ちょっと、勿体ないかと思って、「売れるものなら買い取ってもらおう」という気持ち。

 

引き取りカウンターの定員さんは、とても親切。番号札を受け取って、査定を店内で待ちました。30分もすると査定終了。結果は、三分の一は査定不可、でも、処分はしてくれるということで引き取ってもらいました。

 

あと、三分の二は、なんと、約二千円の査定。即、了解のうえ、売却完了です。お蔭さまで、ぼくの部屋がスッキリして、うむ、ちょっと、寂しいかも。でも、まだ、約300冊の読了本が残っています。

 

大概、読了した本は、Yahooオークションで売却するのですが、最近、売れなくなっているはどうしてでしょうか?コロナの影響かな?

 

つぎは、大掃除。どうしたことか?帰省中の息子が、キッチンの掃除を名乗り出ました。かれの愛用のクレンザーを買ってきて、レンジ周りをゴシゴシ。負けては、細君のお覚えが悪くなると思って、ぼくも、アシスタントとしてゴシゴシ。

 

なんと、油汚れが面白いように溶けて綺麗になるではありませんか。息子いわく、オールマイティのクレンザーではなく、油汚れ、水垢などそれぞれに特化したものを使った方が良い、とのこと。

 

さらに、チビチビと使うのではなく、使い切るぐらいの方がいい。さらに、使い残しても、効能が低下する場合があるとのこと。なるほど、どこで、覚えたのか知らないが、独身生活が長くなると、家事に長けてくるのかも。

 

結果は、見違えるほど、綺麗になって、細君、大喜び。

 

そうこうして、福知山の「鳥名子」から取り寄せた、「鴨鍋」を食べながら、紅白歌合戦を見て平成3年は、幕を閉じました。

 

明けて、元日、飲み過ぎたのか?毎朝6時に目覚めるのに、時計を見ると7時。

 

「な~に!」あわてて、飛び起きましたが、すでに、日の出の時刻を過ぎてしまいました。それでもと思って、中央公園展望台まで、「押っ取り刀」で駆けつけましたが、当然、お日様が待っていてくれることはなく、日は昇る。

 

ということで、今年も、「dandy-papaの休日」をよろしくお願いいたします。

「ロウソクの科学」

「ロウソクの科学」

ファラデー 訳・三石巌

角川文庫

令和2年3月5日改訂20版発行

 

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珈琲館 英国屋 クリスマスイブの日、元町・三宮界隈は、久しぶりに多くの人々で賑わっていました。コロナの第6波が予見される今、束の間の自由を愉しむかのように。ぼくも、その波の中で、キョロキョロ。「珈琲館 英国屋」で一杯の珈琲も愉しむ。また、嬉しからずや。

 

 

たぶん、2021年(令和3年)の締めのブログでR(アール)。と言っても、ぼくは、無所属の浮浪雲。12月だ、1月だ、と言っても、あと、10年を生きるとしたら、120月うちの一つの月にしか過ぎない。クリスマス、大晦日、正月も、3653日(うるう年が3回)のうちの一つの日にしか過ぎないのでR。

 

何だか、とても、厭世的な気分になってきたが、一昨年、今年と、二年にわたって感染症対策で、やや行動が制限されています。やはり、友達とのバカ話の懇談ほど、愉しいものはありません。

 

漸く、少し、収束気味かと思ったら、またまた、オミクロン株というコロナのあがき。報道では、終息に向けた変異という見方もあるが、油断できません。とにかく、21世紀の科学でも、解からいことが多いということ。

 

また、そろそろ、やや緩んだ気分を引き締めて、自粛が必要なムードになってきたかな。

 

と、余談は、このぐらいにして、なんと、今回は、科学の本のご紹介です。

 

『ロウソクの身の上には、あちらから見てもこちらから見ても、興味をそそる話の種だらけでして、それが科学のいろいろな分野につながる道の多様なことは、まったく驚くほかありません。この宇宙をまんべんなく支配するもろもろの法則のうちで、ロウソクが見せてくれる現象にかかわりをもたないものは一つもないといってよいくらいです。』

 

この本は、ロンドンの王立研究所で開催された連続6回の講演の記録です。講演者は、同研究所の教授マイケル=ファラデー(1791~1867)。

 

ぼくは、人文科学が専攻でした。でも、わりと、自然科学者のエッセーなどを好んで読みます。なぜなら、言葉が平易で読みやすいのです。しかも、ぼくの知らない世界を教えてくれる。

 

あるいはは、自然科学への「あこがれ」みたいなものがあるのかも。

 

たとえば、物理学者の寺田寅彦は、有名な随筆家ですが、就職して初めてのボーナスで、寺田寅彦全集16巻(岩波書店)を買って、いまだに、読破できず、ときどき、思い出したようにページをめくります。

 

余談ですが、美智子上皇后陛下も、寺田寅彦がお好きなようで、「柿の種」を音読されているらしいです。早速、捜して読んでみよう。

 

ロウソクは、だれでも知っています。ケーキの上に刺す、あれあれ。でも、ロウソクが見せてくれる現象を、科学的に教えてくれる。なんて、愉快じゃないでしょうか。

 

ちなみに、この本は、ノーベル賞受賞者の吉野彰さんが、科学に興味を持つきっかけになった本らしいです。

 

そして、実は、この講演の対象者は、「少年少女」だったのです。

 

ということで、今年1年、ご愛読ありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。それでは、皆様、よいお年を。

「ロウソクの科学」

「ロウソクの科学」

ファラデー 訳・三石巌

角川文庫

令和2年3月5日改訂20版発行

 

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珈琲館 英国屋 クリスマスイブの日、元町・三宮界隈は、久しぶりに多くの人々で賑わっていました。コロナの第6波が予見される今、束の間の自由を愉しむかのように。ぼくも、その波の中で、キョロキョロ。「珈琲館 英国屋」で一杯の珈琲も愉しむ。また、嬉しからずや。

 

 

たぶん、2021年(令和3年)の締めのブログでR(アール)。と言っても、ぼくは、無所属の浮浪雲。12月だ、1月だ、と言っても、あと、10年を生きるとしたら、120月うちの一つの月にしか過ぎない。クリスマス、大晦日、正月も、3653日(うるう年が3回)のうちの一つの日にしか過ぎないのでR。

 

何だか、とても、厭世的な気分になってきたが、一昨年、今年と、二年にわたって感染症対策で、やや行動が制限されています。やはり、友達とのバカ話の懇談ほど、愉しいものはありません。

 

漸く、少し、収束気味かと思ったら、またまた、オミクロン株というコロナのあがき。報道では、終息に向けた変異という見方もあるが、油断できません。とにかく、21世紀の科学でも、解からいことが多いということ。

 

また、そろそろ、やや緩んだ気分を引き締めて、自粛が必要なムードになってきたかな。

 

と、余談は、このぐらいにして、なんと、今回は、科学の本のご紹介です。

 

『ロウソクの身の上には、あちらから見てもこちらから見ても、興味をそそる話の種だらけでして、それが科学のいろいろな分野につながる道の多様なことは、まったく驚くほかありません。この宇宙をまんべんなく支配するもろもろの法則のうちで、ロウソクが見せてくれる現象にかかわりをもたないものは一つもないといってよいくらいです。』

 

この本は、ロンドンの王立研究所で開催された連続6回の講演の記録です。講演者は、同研究所の教授マイケル=ファラデー(1791~1867)。

 

ぼくは、人文科学が専攻でした。でも、わりと、自然科学者のエッセーなどを好んで読みます。なぜなら、言葉が平易で読みやすいのです。しかも、ぼくの知らない世界を教えてくれる。

 

あるいはは、自然科学への「あこがれ」みたいなものがあるのかも。

 

たとえば、物理学者の寺田寅彦は、有名な随筆家ですが、就職して初めてのボーナスで、寺田寅彦全集16巻(岩波書店)を買って、いまだに、読破できず、ときどき、思い出したようにページをめくります。

 

余談ですが、美智子上皇后陛下も、寺田寅彦がお好きなようで、「柿の種」を音読されているらしいです。早速、捜して読んでみよう。

 

ロウソクは、だれでも知っています。ケーキの上に刺す、あれあれ。でも、ロウソクが見せてくれる現象を、科学的に教えてくれる。なんて、愉快じゃないでしょうか。

 

ちなみに、この本は、ノーベル賞受賞者の吉野彰さんが、科学に興味を持つきっかけになった本らしいです。

 

そして、実は、この講演の対象者は、「少年少女」だったのです。

 

ということで、今年1年、ご愛読ありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。それでは、皆様、よいお年を。