「草花たちの静かな誓い」

「草花たちの静かな誓い」
宮本 輝
集英社文庫
2020年1月25日

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WHOが、ついに、コロナ・ウイルス感染について、「パンデミック宣言」をしました。この宣言によって何が変わるのか?は、ぼくは知りませんが、世界的な大流行と国際機関が認めたということです。


当の発生元の中国は、収束に向かいつつあるということで、涼しい顔をしています。それはそれで良いことなのでしょうが、かの国の情報は、いまいち信頼性がないので、ほんとのことはどうなのでしょう。


わが日本の状況は、とくに、ぼくの周辺では、クルーザーの下船乗客が、近くに居るらしいという噂はありましたがまだ、感染があったという噂は流れていません。


かと言って、ぼくに関係がないかというと、「貯蓄から投資へ」という政府スローガンにのせられて、お国のために「僅かな蓄え」を投資に回して、えらいことになっています。政府は、補償してくれるでしょうか?そんなわけないでしょう。この状況が、早く収束してくれないと夜もおちおち寝てられません。


もともとの不眠症が悪化しそうです。政府は、補償してくれるでしょうか?と、なんでも政府に縋りつくのが、最近の風潮ですが、あくまで、自己責任が第一です。まあ、今回のコロナ・ウイルスは、天災ですから、自然には抗せない弱い人間たちは、じっと、この災禍が過ぎ去るのを待つしかありません。


それにしても、腹立たしいのは、かの国です。軍事費に回す金を、公衆衛生に回せよ!と思うのは、ぼくだけでしょうか?


一旦、コロナのことは忘れて、「草花たちの静かな誓い」・・・タイトルが綺麗です。これから、春になって、何事もないように桜の花は咲きます。先日、一足先に、河津桜の川堤を散歩しました。天気の良い日に桜や雪柳を愛でるのは、一服の清涼剤でしょう。


舞台は、ロサンゼルスのランチョ・パロス・ヴァーデス。ロサンゼルスの海沿いの有名な高級住宅街らしいです。


小畑弦矢は、叔母である菊枝・オルコットの遺産(4200万ドル)を相続することとなった。日本円に換算すると43億円。その手続きにロサンゼルスを訪れて、白血病で亡くなったと思っていた従姉妹のレイラが、6才の時に誘拐されたという意外な事実を知った。


「遺産の70%をレイラに」という削除された遺言書の一部。弦矢は、レイラの消息を突き止めることを決意。そして、ある真実が明らかになっていく。その真実は?


この小説で、つねに準主役になっているのが、菊枝・オルコットの邸宅の庭の「草花たち」と菊枝おばさんの残した「手作りのスープ」です。弦矢は、邸宅の庭で「草花たち」を眺めながら、そして、食事のたびにいろいろな「缶入りスープ」を愉しみます。


ところで、いきなり、莫大な遺産を相続することになったら、あなたならどうしますか?ここで、人間性が露見するかも。まあ、ぼくなら額に汗した資産ではないので、しかるべき組織に寄付するでしょうね。


なんて事は、絶対しないと確信できます。宝くじに当たって、一部を寄付しようとしたら、様々な組織から勧誘されて大変なことになるということを聞いたことがあります。まずは、秘密厳守です。いきなり、派手になるとバレてしまうので、少しづつバレないように・・・なんと、小さな人間でしょう。


そんなことも、妄想してしまう小説でした。