「灯台からの響き」

灯台からの響き」

宮本 輝

集英社文庫

2023年6月25日第1刷

 

淡路ジェノバライン

お洒落な名前になったものです。昔々、ちょくちょく、仕事の関係で淡路島に渡っていた時は、「ばんたんきせん」というレトロな客船でした。明石港から乗船して船室に入って、ゴロリと横になる。

 

20分か30分もすると岩屋港に到着。帰りは、明石港の近くの居酒屋でお疲れ様。船酔いならぬ、ほろ酔いで帰宅したことも数度。

 

橋ができて、便利になったけれど、昔の不便も懐かしい。

 

ボランティアセンターから「和太鼓演奏」のオファーがありました。

 

和太鼓を始めて、まだ、1年にもならないド素人(ぼくのこと)。太鼓打ちの基礎も儘ならない現状で、5月の桜まつりに続いて、またまた、お客様へのご披露と相成りました。

 

プログラムが難しい。そこは、一工夫。まずは、基礎打ちの練習パターン、そして、今、取り組んでいる「ぶち当たり太鼓」の未完成披露、次に、お客様の太鼓体験で、自由に太鼓を打ってもらう。

 

最後に、唯一、ほぼ完成形の「太鼓囃子」のご披露。都合、約40分のパフォーマンスでした。

 

お客様は、デーホームのお年よりの皆様(ぼくも、大概、お年寄りですが)。それになりに楽しんでいただいたようです。なお、今月、もう一件、オファーがあり、同じプログラムで出演予定です。

 

またしても、余談が長くなりました。

 

最近のぼく、少し、ボケてきたんじゃないかな?この小説、このブログを書くまで、著者は、浅田次郎さんだと思っていました。なんてこった!宮本輝浅田次郎の違いも分からなくなってしまったのか?愕然!

 

ただし、お二人ともに趣味が競馬という共通点はありますが・・・。

 

どちらに失礼なのか分かりませんが、宮本輝さんは、「蛍川」で芥川賞浅田次郎さんは、「鉄道員」で直木賞、どちらも大御所です。ぼくにとっては、現代作家の中で、落ち着いて読むことができる二人の小説家ので、・・・うむ、ごめんなさい。

 

ということで、宮本輝さんの「灯台からの響き」です。

 

高校を中退して、中華そば一筋の主人公牧野康平、62歳。若い時に、幼馴染のカンちゃんに説教されて、無類の本の虫になりました。

 

『「康平、とにかく本を読むんだ。小説、評論、詩、名論文、歴史書、数学、科学、建築学、生物学、地政学に関する書物。なんでもいいんだ。雑学を詰め込むんだ。活字だらけの本を読め。優れた書物を読み続ける以外に人間が成長する方法はないぞ」』

細君に先立たれて、中華そば作り止めて、未読の歴史書を読んでいた時、一枚のハガキが出てきました。30年前のハガキは、細君あて、そして灯台の絵が描いてありました。

 

はい、当然、ストーリーは、ハガキに描かれた灯台を探して、細君の知られざる過去を探る旅に出る。と、そのとおりのストーリーです。

 

灯台ってのはあんまり近くから見るもんじゃありませんね。百メートルくらい離れたところから、回転する光を見てこそ味があるんでね。』

 

そうですね。灯台は、離れてみる方がイイ。「雑学」は、「回転する光」の如し。