「古本食堂」
原田 ひ香
ハルキ文庫
2023年10月28日第4刷
「冬の明石川」
新年も、10日を過ぎると、テニス・坐禅・和太鼓・図書館など日常のルーチンが戻ってきました。
そのルーチンに、ニュータウンの西側の明石川の散策をプラスする予定です。そのわけは、平野の田園地帯に「flap flop」というちょっと雰囲気のいいカフェを見つけたからです。これが愉しみ。
能登半島では、地震の影響で、大変な避難生活を送っているのに、まことに、能天気な生活ですが、これに罪悪感を抱たとしても、詮無いことです。
それにしても、毎日のニュースや情報番組で、復旧の状況・・・いや、まだ、現状の把握すら正確ではないようです。
被災した皆さんも大変、救助活動、復旧活動に従事している皆さんも大変、とにかく、ぼくは、早期の復旧と復興を祈ることしかできません。
ただ、わが身の幸せと言えば、人生70年の間に、大きな災害に遭遇したことがないことです。願わくば、これからも、そうありたいものです。
大きな災害があると、「方丈記」を思い出します。
安元(あんげん)の大火、治承(じしょう)の辻風、養和(ようわ)の飢饉、元暦(げんりゃく)の大地震、福原遷都など、鴨長明が体験した人災・天災。そして辿り着いた「無常」という人生訓。
さて、今年の読書雑感の第一弾は、原田ひ香さんの「古本食堂」です。昨年の最後が、原田ひ香さんの「三千円の使いかた」。当代人気の作家さんです。
なぜ、人気なのか?ご本人曰く。「今、本を読む人はシルバーの方が多いので、小説の主役をシルバーにしています。」まさに、原田さんのエサに食いついたようです。
「古本食堂」の主役は、帯広出身の珊瑚(さんご)さん、と、珊瑚さんの親戚で国文科大学院生の美希喜(みきき)、珊瑚さんは美希喜の大叔母です。
この二人のダブル主役。「あたし」が珊瑚さん、「私」が美希喜と一人称を使い分けているのは、面白い。
珊瑚の兄が経営していた神田の古本屋「鷹島古書店」、兄が亡くなった後、珊瑚さんが帯広から上京して相続しました。その古本屋を手伝っているのが美希喜。
ここ「鷹島古書店」を舞台にした大叔母の珊瑚と姪の美希喜の物語ですが、興味のある本の紹介がありました。
『「『落穂拾い』?小山清?」
「・・・・この話の中には、古本屋の少女が出てくるのよ」
「ある種の古本屋のバイブル的な本というか・・・女性の古本屋さんなら皆、ちょっと意識している本なんですよ」』
もう一冊は、丸谷才一の『輝く日の宮』。さて、元町の古本屋さんに探しに行こう。また、愉しみがもう一つ。